知識共有
Knowledge sharing
自閉症スペクトラム(ASD)
Autism spectrum disorder
現在、広汎性発達障害(ADHDやLD含む)と一般的に同義に扱われている総称。
[3つ組の症状]
自閉症の研究者ウイングが提唱した「コミュニケーションの障害」「社会性の障害」「想像力の障害」の3つの組み合わせを持つ症状のこと。
アスペルガ―障害(アスペルガ―症候群)
Asperger disorder/Asperger Syndrom
[定義]
自閉症と同じく「社会性の障害」と想像力の先天的な障害が認められ、かつ言語コミュニケーション障害が軽微なグループの総称。
[特徴]
自閉症よりも軽い「社会性の障害」を特徴とする。愛着形成の遅れや集団行動の苦手さが顕著。 カタログ的知識にすぐれ、語彙が豊富。
文脈理解には制限があり、共感や社会的相互交流の苦手さが著しい。比喩や冗談の理解に困難さがある。
成人期では、「場の雰囲気を読むことが難しい」「2つのことを同時に行う(基本的なマルチタスク)が苦手」という問題が残るとされる。
ADHD(注意欠如(欠陥)多動性障害)
Attention Deficit Hyperactivity disorder
[診断的概念]
不注意および多動、衝動性が主要症状。
「衝動性」とは、“よく質問が終わる前に出し抜けに応えてしまう”・“順番を待つのが困難である”・“よく他人を妨害し、邪魔をする”という診断基準の意味。
当事者の20%程度は青年期までに症状が消失するが、残りは成人期にも症状が持続するとされる。(統計的データ諸説あり)
[基礎研究学的概念]
ADHDは単に「注意」そのものに関する障害ではないとし、本質的には“抑制ならびに自己統制(我慢したり律すること)”に関わる脳の回路が、発達の段階で損なわれているとされる。遺伝的要因(受け継がれやすさ)は約80%と考えられている。
[併発する可能性のある症状 ]
反抗挑戦障害、素行障害、協調性運動障害、学習障害、強迫性障害、不安障害などのどれか/複数を併発するケースもある。
広汎性発達障害(PDD)
Pervasive developmental disorders
[概念]
「対人的相互反応の異常」「コミュニケーションの障害」「行動・興味・活動の限局ないし反復的常同行動」を主な症状を持つ発達障害。
[認知特性]
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言語性能力の低いケースでは、自分自身や他人の心の状態を思い浮かべ、解釈する能力を「心の理論」といわれ、3~4歳で正常児が獲得するのに比べてPDDでは大きく遅れる。相手の考えを読みとるのが困難なことで、会話が成立しなかったり、傷つけてしまう発言をしてしまう。言語能力が高いケースでは、「心の理論」は獲得できる。
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「遂行能力」(ものごとを多面的に捉えて、最適と判断して実行する能力)が阻害されて一つの物事について考えている状況下では、別の方向に注意を向けることが困難になる。
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場の雰囲気や物事の文脈を捉えることができず、部分的な情報処理が優先してしまうことで、全体的な把握が弱くなる。このことにより、類推することが難しく、特に子供のケースでは“1から10まで”を教えないと理解できないとされる。
[併発する可能性のある症状 ]
てんかん、トゥレット症候群、うつ病ないし双極性障害、強迫性障害、その他の不安障害。
学習障害(LD)
[定義]
文部科学省では、「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得に著しい困難を示すものである。学習障害はその原因として、中枢神経に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない」としている。
[種類]
識字障害(ディスレキシア)、算数障害、書字表出障害および特定不能の学習障害。
実行機能(遂行機能)
Executive functhion
大脳新皮質の前頭葉が持つ能力。
将来の目標達成の為の行動を決める能力を総体的に指す。「抑制機能(inhibition)」「シフティング(shifting)」「アップデーティング(updating)・ワーキングメモリ」の3要素から構成されているモデルが一般的。「計画や見通しを立てる」「目前の刺激への反応を制御する」「柔軟に取り組み方を変更する」などを行うために無意識的・意識的に機能する。
ADHDの場合、実行機能の働きが少ないために、対人関係といった社会性や日常生活に支障をきたしやすいと言われている。
働きが低下する状態は、一般的な脳の衰えでもみられる傾向である。